これはP3Pの当サイト主人公たちの二次創作です。オリジナル設定満載&フェスネタばれ前提ですので読まれる際はご注意ください。

荒女主前提で、男主とガキさんの話。本当の馴れ初めというか。


今回は珍しく一部出てくる登場人物簡単紹介。

静真(しずま)…P3男主
成美(なるみ)…P3女主  

超シスコンと普通のブラコンな仲良し男女双子の主人公。男子(フェスクリア後封印中)はザベス、女子(P3P1周目トライ中)はガキさんがそれぞれのお相手。

P1主・玲矢(れいや)は「兄」(※引き取られ先の長男)で、P4主・有人(あると)が「はとこ」な主人公一族。
苗字は全員「神那姫(かんなぎ)」です。

色々オリジナル入ってますので詳しくはサイトのSS「時を告げる」を御確認下さい。
とりあえずそんなところです。OKと言っていただける場合のみ、スクロールどうぞ。



↓↓↓


それはとある休日の昼下がり。
時間を持て余した荒垣は、やや遅い昼食を外で取ろうと部屋を出た。
階段を下り、無人のラウンジに足を踏み入れた数歩の後、ふと足元に異物を見つけ立ち止まる。葉書より少し小さな白い長方形の紙。ゴミか何かだろうか、と何気なく手を伸ばして気が付いた。
(写真…か)
携帯やパソコンの普及が進み、昨今は見ることも少なくなってきた印象のあるそれを拾い上げる。
写っているものを確認すれば持ち主が分かるだろう。
そんな軽い気持ちで写真を引っくり返した荒垣は、表に写ったものを見て少し驚いた。
2人の人物が写っている。
その内1人は荒垣が知らない人間だったが、もう1人は良く知っている人間、のはずだ。
驚いたのは、その『知っている方』が普段とは全く違った人間に見えたからだった。
「…神那姫、か?」
呟いた言葉が聞こえたわけではないだろう。が、丁度その瞬間ものすごい勢いで玄関の扉が開き、写真の人物が飛び込んできた。相変わらずの無表情ながら、酷く焦った様子の少年。
――――特別課外活動部、現場リーダー・神那姫静真。
一般的には知られることのない時間の中でそんな立場を担った彼は、写真と本人の登場との相乗効果に一瞬驚いて固まった荒垣を見付け、ついでその手に自分の探していたものを見付け、焦りから一転うんうん、となにやら納得したように頷いた。

「有難うございます。これを失くしたら割腹の後に市中引き回しの上獄門レベルの大失敗でした」
「…割腹の後は引き回せねぇだろ…」
台詞の内容はともかく感謝しているのは本気なようなので、荒垣は小さくツッコミを入れただけで写真を返してやる。
「どうも」
受け取った静真の表情はいつもと変わらない。だがそれは「変えられない」だけだということを、ひょんなことから荒垣は知っていた。
飄々とし、何事にも関心の薄い個人主義者。
そんな風に言われる彼が、かつて酷い心的障害を受け、以降『表情』を失ってしまったということを。
「…」
写真をじっと見詰める静真の目は、無表情を補って余りあるほどに優しく愛しげに見える。
その目が写真の彼と同じものだと理解し、荒垣は先ほど驚きと共に思ったことが事実だったのだろうと納得した。
(朴念仁かと思いきや、か)
写真に写ったもう1人の人物は、静真と寄り添って笑う見知らぬ制服の『少女』だった。
そんな話も噂もついぞ聞いたことはなかったが、おそらくは静真の恋人なのだろう。
何も聞かないうちからそう思うほどに、2人は写真の中でとても仲良く幸せそうに見えた。
モテるくせに全然女に興味がない!と順平から軽い嫉妬交じりの評価をされていた静真だが、以前の学校に恋人がいるのならばそれも当然のことか。
それに。
(あれだけの美人なら、そりゃ周りも目に入らねぇだろうよ)
写真の少女は、いわゆる『美少年』である静真(ただし、黙っていれば、という注釈が付くが)と並んでいても、まったく見劣りがしない。
それどころか、周りの女が黙って逃げ出すだろう『美少女』だった。
整った顔立ちをしているというのも勿論だが、それ以上に彼女を印象付けるのは見た者が自然とつられてしまいそうな鮮やかな笑顔だ。
あの笑顔を向けられたら、大概の人間は彼女に好意を抱くのではないだろうか。
(…て、俺が考えるこっちゃねぇが)
色恋に疎い自分がそう思うくらいなのだから、当の『彼氏』にしてみればそれ以上に違いない。
荒垣は自論に妙な説得力を感じ、黙ったままでなんとなく頷いた。すると、不意に静真が勢い良く顔を上げる。
「!?」
その顔の上げ方がホラー映画の金字塔【エクソシスト】を髣髴とさせる首の回りっぷりだったので、流石の荒垣も二歩ほど後ろによろめく。…悲鳴を上げなかったのは彼なりのプライドが勝った結果だ。
しかしそんな荒垣の様子など意に介さず、静真はどことなく勝ち誇ったような気配で言い放った。
「…このものすごい可愛い子は誰だ、とか聞かないんですか」
「…は?」
仰け反りかけた身体を元に戻しつつ声を吐き出すと、静真が畳み掛けるように言葉を続けた。
「聞きたいんじゃありませんか。聞きたいですよね。聞いたほうがいいと思いますが」
「…要するに、聞かせたいんだな?」
「はい」
一言で終わった。
がくりと自分の肩が脱力するのを感じ、荒垣は何もかも諦めたようにため息を吐いた。
「…分かった…いいからとっとと話せ…」
要するに可愛い彼女のことをノロケたいのだろう。
しばしあらゆる言語を右の耳から左の耳にスルーする覚悟でポケットに手を突っ込み、近くのテーブルに軽く寄りかかる。昼食が夕食になる予感になんとなく苛立ちを覚えつつも、さぁ来い、と次の言葉を待ち構えた、その時。
「やっぱり荒垣さんも可愛いと思いますか。そりゃ普通思いますよね。思うべきです。超可愛いですから俺の双子の姉は」
予想外過ぎる単語に荒垣はそのまま背中からずり落ちて、床に腰と肘を打った。
「痛てぇ!」
とりあえず何の捻りもなくそう叫んだ荒垣を、冷ややかに(見えるだけかもしれないが、おそらく今回は本当に見たままだろう)見下ろした静真がぼそりと呟く。
「…ポケットに手を突っ込んでると危ないですよ」
「お前が言うな!つか違う!」
何故かポケットに手を突っ込んだまま全速力でダッシュする後輩に腹の底から突っ込んでから、荒垣は自分がコケた理由を思い出して飛び起きた。
「いたのか姉!?てかさっきのがお前の『姉』!?その上『双子』とか言ったか!?」
「双子ってったら双子です。大切なことなので二度言いました」
「ちょ、待て、おい」
普段であれば容赦なく拳骨を入れただろうボケもスルーし、荒垣はもう一度写真を穴が開くほど眺めた。
…似てない。
というか、そもそもあらゆる部分で色合いが全く違う。
例えるなら静真という少年は「夜」の色をしている。ダークブルーの髪と目。表情を失っているからという理由もあるが、長い前髪に隠された顔立ちはどこか整いすぎ、人形を思わせるときすらある。
ところが彼の『双子の姉』と言われる少女は、正反対の「朝」の色を纏っていた。高く結い上げた長い髪は明るい茶色、瞳は真紅。その笑顔は闇を寄せつけない生気に溢れ、美しい顔立ちであるのに人を拒絶するような冷たさとは無縁だ。
敢えて共通点を探すのならば、どちらも水準以上の美形だということくらいか。
対照的過ぎる2人を幾度も見比べ、荒垣は結局ため息を吐いた。
「…いや、有り得ねぇだろ。似てるとか似てない以前に遺伝子的におかしいにも程がある」
「…なんかものすごく失礼なことを言われてませんか俺」
「知るか!」
不服そうな言葉を先ほどの復讐ではないが一言で切り捨てる。
確かに失礼な話だと思わなくもないが、そこで気遣いが必要なほどこの後輩が繊細ではないことも荒垣は重々承知していた。事実ぶつぶつとなにやら文句を言っているようだが、凹んでる様子は微塵もない。
まさか冗談か、とも思いかけたが、それを口にする前に写真を掲げて本人が反論した。
「二卵性とはいえ正真正銘の双子ですよ。こんな美少女に俺以外の双子の弟がいるように見えますか」
「…意味がわからねぇが」
「まぁそうでしょうね」
「納得するなら最初から言うな!」
まだ痛む肘をさすりながら怒鳴ると、静真はこくこくと素直に(?)頷いた。
「…で、なんだ、要するに正真正銘血の繋がった本物のお前の双子の姉だとして、だ」
「だから本当に双子の姉です」
被せる主張を無視して続ける。
「結局、何が言いたかったんだ」
「俺の姉が可愛いという自慢です」
「何の誤魔化しも無く言い切りやがったなてめぇ…」
大体予想がついていたので、今度はコケずに済んだ。
要するに、この後輩は。
「あ、シスコンです、俺」
「今更言われなくても分かったっつーんだよ!」
怒鳴り声と共に、今度こそ荒垣の拳骨が静真の脳天をド突いた。

「…しかしまぁ、随分と仲の良い姉弟なんだな」
何気なく呟くと、静真は不思議そうに首を捻った。
痛そうに頭をさすりさすりしながらも懲りずに姉自慢を続けようとする彼は、どうやらそんなことは当たり前だと思っているようだ。
双子とはいえ男女の姉弟、普通は一定の年齢以上になれば多少距離が開くのではないだろうか。恋人と見間違うほどにべったりくっついているというのは珍しいだろうと荒垣は言いかけて、ふと気付いた。
彼らにはもう、お互いしか『血の繋がった家族』はいないのだ。
「…あんまそーいうの気にしなくていいですよ」
一瞬黙り込んだ荒垣に、意外と人の感情を読むことに長けている現場リーダーはさらっと言ってのけた。
「両親がいないっていうのが原因のひとつなのは否定しませんけど、その前から俺は天下無双のシスコンでしたから」
「…大変だな、お前の姉ちゃん」
フォローなのか自慢なのかよく分からない台詞だが、それは荒垣を少しほっとさせた。
いまいち掴みどころの無い「変な奴」ではあるが、静真のこうした強さは荒垣にとって素直に尊敬できるものだ。自分や、自分の兄弟ともいうべき真田がいつまでも過去に囚われているのに対し、それ以上に過酷といってもいい過去を持つ彼はその傷跡すら笑い話にして未来を向く。その輝きこそがおそらく彼を「リーダー」たらしめているのだろう。そして、それを支えているのが、きっと。
「…『成美』って言います、俺の姉…ていうか、俺の半身、ですけど」
穏やかな声音で語り始めた静真の目は、どこか遠いところを見詰めていた。
「基本しっかり者のくせに、変なとこドジで…いつも一生懸命で、人の知らないとこでこっそり無理すんです。…お人好し、だから」
その表情は変わらない。けれど、写真を持つ手がほんの少し震えていることに、荒垣は気付かない振りをした。
「俺がこんな風になった時も…成美はずっと謝ってた。成美のせいじゃないのに。自分だって充分辛かったくせに『何も出来なくてごめんね』って何度も何度も。…それから、ずっと泣かないんです、あいつ」
「…泣かない?」
思わず問いかけ直した声に、視線はそのままで静真が頷く。
「これからは、俺の為にしか泣かないんだ、って。…自分が泣きたいときは、ぐっしゃぐしゃの顔してても必死で我慢すんです。本当は、ものすごい泣き虫だから、もう99%は泣いてるぞって状態なのに『泣いてない!』って意地張って…でも、俺が悲しかったりすると敏感に気付いて、目が溶けるんじゃないかってくらい泣くんですよ。自分はもう泣かないから、俺の分を代わりに泣く、それ以外のときは、俺がずっと楽しい気持ちでいられるようにいつも笑う、って」
「…!」
荒垣は、声も無く息を呑んだ。
写真に写った、少女の屈託の無い明るい笑顔。それを思い返して愕然とする。あの裏にそれほどの決意が隠されているなどと、一体誰が気付くのだろう。
そしてそれと同時に強く思う。確かに彼女は、この少年の『半身』なのだと。
「成美がいてくれたから…俺は、何を無くしても折れずに真っ直ぐ進んでこれた。…あいつ、いつも俺より重い方背負おうとするんです。双子だけど、『お姉ちゃん』だから。滅多にそんなこと言わないくせに、いざって時ばっかり年上の顔して。自分こそ、危なっかしくてほっとけないタイプだってのに、俺のことばっかり。…俺は…俺なんか、どうでも、いいのに。成美が、成美のために笑ってるなら、それだけでいいのに」
抑揚の無い声だが、それが彼の精一杯の悲しみを表現していることは容易に分かった。
(…ああ、結局似てるのか)
会ったことが無い。けれど分かる。彼らは互いの為には誰よりも強く、そして、互いの為にだけは酷く脆いのだ。
――――掛け替えの無い、『半身』故に。
「…おめぇの姉貴もそうなんだろ」
呟いた言葉に、静真がはっとしたように顔を上げた。
「お前の為に自分の感情くれてやろうってくらい、お前は姉貴に好かれてんだろ。だってのにてめぇで『どうでもいい』なんて言うんじゃねぇよ。そんなの聞かされたら、余計に悲しむに決まってんだろうが。大事な女、てめぇで泣かせてどうすんだ」
声にした長い言葉に、自分でも少し驚く。
…どうしてそこまで言ったのか分からない。けれど何故か、あの少女が悲しむのだろうと思ったら勝手に口が動いた。泣かせたくないと、思った。
(…らしくねぇ、な)
自分が引き摺る過去への感傷なのか、それとも、と思いかけてやめた。理由は分からないが、それに気付いてしまったら忘れていたかった何かを自分の内側から引っ張り出してしまいそうで。
僅かな沈黙の後、不意に静真がひとつ大きなため息を吐く。
「分かってます。成美は、俺のこと好きです。そりゃもう大好きです。自信あります。両思いです。ちょーラブラブです」
「…おい」
「でもね」
突然ノロケ始めた後輩にもう一発拳骨を食らわせるべきか一瞬悩んだ荒垣は、その次の言葉に拳を引っ込めた。
「…俺の方が、もっと、ずっと、成美を好きなんですよ」
そう言った静真の表情は、ほんの少しだけ笑えているように見えた。



「…成る程な、よく分かった。有難うなシンジ」
「チッ…」
やたらと元気のいい幼馴染の声に、多少の苛立ちを覚えて舌打ちが漏れる。不機嫌さを隠すつもりもなく、荒垣は吐き捨てるように告げた。
「いい加減にしろアキ、こちとらてめえの遊びにいつまでも付き合っちゃいらんねぇんだよ」
「まぁそう言うな。いいから一度戻ってきてみろよ。美鶴の希望で新しく現場の『リーダー』になったそいつがとにかく凄い能力を持っていてだな…」
「…相変わらず人の話を聞きやしねぇなてめぇは…」
酷くテンションの上がった彼は、聞いてもいないのに先程からこの春に起きた様々な変化を熱く語っていた。
新たなペルソナ使いと、ついに踏み込んだタルタロス内部、巨大なシャドウ、そして。
「うちに新しく転校してきた2年なんだが、複数のペルソナを付け替えることができる」
「ペルソナを、付け替える…」
ペルソナ使いの中でも、類を見ない特殊な力を持つ『リーダー』のこと。
「ああ、お前も見たらきっと驚くぞ、神那姫の力は」
「…かんなぎ…?」
「知っているのか?」
その名を聞いた瞬間、何かが記憶の片隅で引っかかった。
どこかで、これと同じ話を聞いた気がする。その名前を持つ人間を、その能力を、どこかで知っていたような。
(…んな馬鹿な)
奇妙な既視感を、荒垣は無言で振り捨てた。珍しい名前だ、聞いたことがあればもう少し覚えているだろう。ましてやそんな特殊能力者など、見ていれば忘れるわけがない。
「…いや、別に」
微妙な間を置いて否定した荒垣を、真田は特に気にする様子もなくあっさりと頷いた。
「そうか。まぁ一度会えば忘れられないような奴だからな、今度お前にも会わせて…」
言いかけたその時、突然賑やかな声が廊下から響いたかと思うと病室の扉が開いた。
「ウィース!真田せんぱーい元気すかー?」
「病院で元気とかないでしょ、ったく…あ、お見舞いに来ましたー!!」
月光館の制服を着た少年少女が元気よく入ってきて、自分と目が合い、一瞬止まる。
「あ、あの、おトモダチ、でしたか」
「す、すみません!」
「なんだお前たち、全員で来たのか?見舞いなんて大げさな、ただの検査入院だって言ったろ」
慌てた様子で謝る彼らに笑顔で答える真田に少し驚く。取り巻きは多いが友人は少ないこの男が、そんな風に笑う相手はあまりいない。おそらく彼らが「新たなペルソナ使い」たちなのだろう。
(…まぁ、俺にはもう関係ねぇ話だが)
頃合だ、と身を翻す。
「もういいだろ、俺は帰るぜ」
「…ああ、すまなかったな」
ぴたっと壁に張り付くようにして扉までの道を開ける『後輩』たちの横を通り過ぎようとして、不意に違和感に目を向ける。
視界に入ったのは、明るい「朝」の色。
(…違、う?)
かつてそこは、「夜」の色の位置ではなかったか。
そう考えた後で、自分自身でその思考の意味が分からずに困惑する。
(なんだ、これは…)
酷く自分の記憶が曖昧に感じられ、軽い眩暈を覚えた、その時。
ふわりと、明るい茶色が空気を含んで跳ねる。
視界に入ったのは、鮮やかな真紅。
「…!」
美しい、少女だった。
ほんの少し怯えを含みながらも真っ直ぐにこちらを見詰めるその瞳に、呼吸が止まる。
一目見た瞬間、その姿が焼きついてしまうような不思議な存在感。
緊張した面持ちで一生懸命に背筋を伸ばす小柄な姿を今初めて見たはずなのに。
何故だろうか、彼女の笑顔を知っている気がした。
「…お前」
「は、はいっ!?」
まさか声をかけられるとは思っていなかったのだろう。柔らかく高い声が、ひどく慌てて返事を返す。
その初めて聞く響きに、はっと我に返った。自分は一体、何をしているのか。
「…いや、なんでもねぇ」
「……?」
曖昧に誤魔化し、足早に病室を出る。真紅の瞳が不思議そうにその背を追っていると気付いていたが、荒垣はもう振り返らなかった。
脳裏に映る『知らないはずの笑顔』が、そこにはないのだと分かっていたから。



「――――だから、うちの成美はそう簡単にはあげられませんよ」
「…て、なんでそれを俺に言う」
突然じとっと見上げる視線に何故だか居心地の悪い思いを抱き、荒垣はわざと眉根を寄せて不機嫌な表情を作る。
しかし当の静真は少しも怯まず、ぐいと右手の親指で自分の口の端を持ち上げて見せた。
「!」
吊りあがった唇の端のせいで、いつもの無表情が突然シニカルな笑みに変わる。
その、何もかもを見透かしたような自作の『表情』で、自称『天下無双のシスコン』は告げた。
「…だって先輩、成美に『惚れた』でしょう」


END。

実はフェスのとき既に一目惚れしてた荒垣さん、とか。

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