毎度おなじみご注意(しつこいですが安全のためにお付き合い下さい)。

●これは「L the proLogue to DEATH NOTE 〜螺旋の罠」の名前自由入力主人公(新米FBI捜査官)が「東京魔人学園剣風帖」のデフォルト主人公緋勇龍麻だったら、という個人的趣味に全力疾走した二次創作モドキです。

●加えてこの緋勇さん、先日「九龍妖魔学園紀」の2周目オマケモード「黄龍妖魔学園紀」をクリア済です。

●故に時間軸は2005年9月のお話です。

●世界観はデスノの方ではなく、魔人+九龍をメインとしますので、この世界の《L》は「魔人世界に存在するパラレル《L》」です。故にここは今後デスノ−ト事件は発生しないか、発生しても強制終了させちゃうような死神より強い魔人連中の跳梁跋扈する世界です。

●そんなパラレルは原作への冒涜だという方は、どうか脳内から削除の上リターンをお願いします。

●それでもいいよー、とかクロスオーバー上等という許容範囲の広ーい方にちょっとでもニンマリしてもらえれば嬉しく思います。

最後に・・『こんな二次創作に立ち向かう覚悟はありますか?』

<はい(の人は下へスクロール)

<いいえ(の人はリターンお願いします)


では、ゲーム再開です↓

※※※※※※※

ごとり。
罠の心臓部、爆薬を内部からそっと引き出し地面に置く。その作業を最後に、目の前の『機械』は沈黙した。
自然と身体が深い息を吐く。一点に集中していた意識が解き放たれ、世界が一気にクリアになる。
『油断は禁物です、緋勇さん』
静から動へ切り替わるたった一瞬、僅かに浮かんだ安堵の表情を見破られたか、機械音声が開けた意識の中へと真っ先に飛び込み更なる覚醒を促す。
「了解です、《L》」
突きつけられた鋭さに、心地良い緊張感が全身に行き渡る。命を奪われかねない危険の中で、波紋のように広がる高揚感と安心感は、幾度も覚えのある感覚だった。
7年前。無手故に先陣を切る俺を癒し、援護し、庇い・・・そして、常にこの背を守ってくれた仲間達。深く刻まれた傷をもってしてもなお、輝きが失われることのない高校最後の1年間。
あの日々に感じていたものと、とても近い『感覚』。
(まさか、こんな変則的な『背中合わせ』があるとはね)
さりげなくカメラの範囲から外れるよう立ち上がりながら、俺は相棒を真似て唇の端をぐいと上げ、悪餓鬼の笑顔を作った。

端末の右端にタイマーカウンターが出現してから、30分。
どうやら意図的に配置されているらしい「トラップ解除用道具」の中から新しく見付けたドライバーをダーツの要領で壁へ投げつけたくなる。そんな忌々しさを無理矢理心に押し込め、枕カバーを利用して作った簡易道具袋に放り込んだ。
あと、5時間半。
果たして長いのか短いのか。考えかけて、やめる。
それは『今は俺の役目ではない』のだから。
未だ詳細不明の廃ホテルの中。俺が目覚めた場所よりひとつ上の階へ舞台が移動した現在、俺が理解したことは大きく分けて2つだ。
1つめは、俺を誘拐した相手の目的が復讐だということ。
―――テロ組織『クリエラの月』。
内戦の続いていたクリエラにNPO団体として入り込み、難民を救済するという名目で多くの民間人を誘拐していた組織だったが、三ヶ月前にFBIの一斉摘発によりほぼ壊滅。
その一斉摘発を、指揮していたのが他ならぬ《L》だった。
『クリエラの月』はそれを逆恨みし、FBIの捜査官(俺の事な訳だけど)をこのトラップボックスに閉じ込めた上で《L》に救出させようとしている。
詰まる所、狙いは『FBIの捜査官を《L》の指示ミスで爆死させ、FBI・《L》双方にダメージを与え、権威失墜させよう』・・・ってこと、らしい。
聞いた瞬間、阿呆かと一言で切り捨てかけたのは内緒だ。
まったくもってくだらないし、腹立たしいことこの上ない。
・・・だが、それより更に俺を怒らせたのは2つめ・・・この廃ホテルそのものが、連鎖したひとつの『罠』となっており、制限時間内に全てを解除しなければ『周囲を全て巻き込んだ上で』爆破されるということだった。
《L》は勿論のこと、生贄であるFBI捜査官が途中でリタイアすることのないように、周辺住民を二重の人質にしたという訳だ。
そして、その全てのリミットがこの端末に刻まれたカウンターの数字だという。
制限時間は6時間。そして既に俺は持ち時間のうち35分を使用済み。・・・と、更にもう1分経過してたか・・・。
(あー腹立たしい!逆恨みもそうだけど、関係ない人まで平気で巻き込むなんて、最低にも程がある!レリックドーンを筆頭に、これだからこういう手合いって大ッ嫌いなんだ俺はー!ここから無事に脱出できた暁にはあらゆる手段をもって駆逐してやるぞ『クリエラの月』!覚悟しておけー!)
・・・はぁ。
思いっきり物騒な誓いを心の中だけ怒鳴って、こっそりため息を吐き出す。
まぁこんな調子で、今の俺はやり場のない怒りをどうにか身の内に沈めている最中なのだった。
分かってる、今ここで俺が怒ったって意味が無い。
最悪、俺の怒りに龍脈の《力》が反応でもしたら・・・大陸規模で被害拡大になりかねない。これが冗談じゃないところが自分でも嫌だ。
しかし本当に1階でヤケ起こしてビルの外壁吹っ飛ばして逃げちゃおう、とか、いっそ《氣》で防御した上で爆弾吹っ飛ばしちゃおう、とか恐ろしいこと考えなくて良かったなぁ・・・。
周囲一帯焼け野原になったどこかの街を思い描き、ぞっと身震いする。《力》というのはやはり気軽に使ってはいけないものなんだとこんなところで再認識してしまった。
有難う俺の理性。この先も落ち着いていこう俺の理性・・・。
『緋勇さん、ちょっとよろしいですか』
「はいッ!」
・・・くだらないことを自分に語りかけていたもので、《L》の呼び掛けに反応が遅れた。つい慌てた返事になってしまったけれど、変に思われなかっただろうか。
そんな俺の動揺などとっくに気付いているのか、それともどうでもいいのか、《L》は丁度俺が摘み上げたところだった『何かのダイヤル』を興味深そうに(といってもカメラ越しだけど)観察しながら不意に奇妙な質問を投げてきた。
『ところで唐突につかぬ事をお伺いしますが、緋勇さんのご趣味はなんですか』
「え、趣味・・・ですか?」
『はい』
本当に唐突だ。
一瞬また何かの引っ掛けなのかなとも思ったが、先刻も決めた通り駆け引きというものに向いてない俺はどのみち直球でいくしかない。
ま、いっか。
「家事です」
『・・・・・・・・』
明確に答えた俺に対する返答は、沈黙だった。
『・・・・・・・・』
しかも長い。
なんでそこでこんなに長い沈黙なんですか《L》。
え、まさかこんな話題で本当に何かばれたとか?!
俺が内心冷や汗をかき始めた頃、やっと《L》の声が聞こえた。
『家事、ということは、掃除や洗濯、炊事といった作業のことでしょうか・・・』
相変わらずの機械音声なのに、どこか戸惑っているようにも聞こえる。
ああ、そういう沈黙だったんですか・・・。
そういえば、世間的には趣味=家事っていう成人男性は珍しい部類なんだっけ。おかげでよく仲間内で『お母さん』扱いされたよなぁ。・・・まぁ、今でもよくそう言われるんだけど。
「はい。一番好きで得意なのは料理ですけど、家事は全部好きですよ」
ともあれほっとした気分も上乗せして正直に答えると、今度は端末の向こうから『なるほど』と妙に感心したような相槌が聞こえてきた。
繰り返すが、勿論流れてきたのは抑揚ゼロの機械音声だ。
でもそこから《L》という人物の温度がだんだんと感じられる割合が多くなってきているのは、俺の気のせいじゃないはず。
そのことが、俺はなんだかちょっと嬉しかった。
ーーーーーーだから、多分俺は、無意識にちょっと笑ったんだろうと思う。
『・・・はい、その顔です』
「え?」
突然の指摘に、驚いて端末を覗き込む。
真っ白な画面の中に映っている俺は、自分でも間が抜けてるなぁと笑ってしまいそうなほど目を大きく見開いていた。
・・・あれ、もしかして・・・。
『緋勇さんには、眉間に皺の寄っていない表情の方が似合います』
気を・・・遣わせてしまったんだろうか。
隠していたつもりだったが、俺の苛立ちは《L》に伝わってしまっていたのだろう。自分の未熟さが情けない。
今は怒りが力になる状況じゃない。もっと冷静でいなければ、俺だけでなく他の誰かをも巻き込む結果になってしまう。
「・・・《L》、すみませ・・・」
謝罪の言葉を口にしかけた時だった。
『貴方は、優しい人ですね』
機械音声が組み立てた単語が、余りにも意外で言葉が止まる。
どうして、と思った感情をまたも読み取ったのだろう。《L》は既に手も止まったままの俺を咎めることなく、静かに続けた。
『自分の置かれた状況を知った時も、爆弾を前にした時も、貴方は常に冷静でした。しかし、周囲の人間が巻き込まれるかもしれないと聞いた時だけ、緋勇さん、初めて貴方は怒りを露にした。【自分】ではなく【誰か他の人間】を案じるが故に、です。自分より他者を自然に優先させてしまう・・・貴方は、そういう人だと私は判断しました。貴方は確かに捜査官として有能ですが、それ以前に人間として信頼できる人です』
うわわわ。
何と答えていいのかますます言葉に詰まる。まさかそんなことを言われるとは思いもしなかった。もしかしたら顔、赤くなってるかもしれない。
・・・俺は別に優しいわけじゃないですよ、《L》。ただ人よりちょっとだけ特殊な《力》を持っていて、人よりちょっとだけ頑丈だから、より多くを負うことが出来る。だから、そうしている。・・・本当に、ただそれだけ。
「《L》・・・」
とりあえず何か言おうとした声は、再び機械音声に遮られた。
『お気になさらず。私の勝手な判断ですので』
「・・・えーと、そう、ですか・・・」
語尾が小さくなる。
・・・先手を打たれたってことだろうか・・・。うう、なんだろうこの敗北感と居た堪れなさ。
今ひとつ自分を取り戻せないままの俺が、果たしてどのタイミングで調査に戻るべきなのか掴めず端末を再び覗き込む。
もしかしたら、その瞬間を待っていたのだろうか。
《L》は、おそらく最も俺に向けて伝えたかったことを、会話の最後に紛れるように機械音声に乗せて寄越したのだ。
『ええ。ですから、私は貴方を信頼します。たとえ、緋勇さん・・・貴方が【FBI捜査官ではなかったとしても】』
・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・!!!
そう来たかー・・・!
ばれた?とか、不味いなとか、もしかして引っ掛け?とか、一瞬にして色んな事が頭を巡りーーー。
そして。
俺はつい吹き出してしまった。
だって、既に言ったじゃないか《L》自身が。
俺が【FBI捜査官じゃなくても】信頼するって。
やられたなぁ、これこそまさに先手だ。
この通信は、相手方にも全て伝わっている。だから《L》はわざと他愛も無い雑談に見せかけて、一番重要な言葉を伝えてきたわけだ。
FBI捜査官ではなく『緋勇龍麻』を信頼する、そう決意した《L》と・・・【共に戦う覚悟はありますか?】と。
ああ、本当に、やられた。
「《L》、掃除のコツってご存知ですか?」
『・・・いえ、なんでしょうか』
そんな問いかけをされて、逃げられるものか。もっとも・・・
「そこに住む人が気持ち良く過ごせるよう、心を込めて・・・隅から隅まで徹底的に、です」
最初から、逃げるつもりなんて無かったけれど。
『なるほど、真理にして深い答えですね。・・・了解です』
真っ白い画面の向こうに、ニヤリと笑う口元が見えた気がした。
まいったなぁ。
俺、やっぱりこの人のこと結構好きだ。
仕方ない、ここはひとつ【FBI捜査官】以上の働きをしようじゃないか。
しかし《世界の頭脳》の手足に《黄龍の器》か・・・。
自分で言うのもなんだけど、これってもしかしてかなり恐ろしい組み合わせになるのかも、ね?

『・・・ところで緋勇さん』
「はい、なんでしょう《L》」
机の上に置かれた、どう考えても怪しい金庫。どうやらこれが、次の階への鍵となるらしい。
残時間表示は5:05。
さて覚悟を決めて挑戦しようか、というそんなタイミング。
『先程聞きそびれたことを、お聞きしておいても良いですか』
「はい。構いませんが、どういったことでしょうか?」
問い返した俺は、次の質問にまたしても目を大きく見開いてしまう羽目になった。
『料理が得意とおっしゃってましたが・・・お菓子作りは得意ですか?』
一拍遅れて「はい」と答えた俺が、その質問がどれだけ重要な意味を持っていたのかということに気付くのは、次の階へ上がってすぐの話。

END。

※※※※※※

ちまちまと書き溜めて、なんだかんだで2階到達まで進んでしまいました黄龍in螺旋。
・・・仲良くというより、共犯のようです。
・・・というか、この組み合わせだといっそ犯人が可哀想じゃないのかと思えてきました。
はて、この最強タッグどうしたもんか。書けば書くほど予想外の方面に進んでる気がします。ゲームバランス無視です。大丈夫かー、こ、こんなんで続けていいのか本当にー(滝汗)

コメント

nophoto
さゆま
2008年4月16日0:52

大丈夫です!どんどん行きましょう!(笑)
こんばんは、さゆまです。
黄龍至上主義者としては、ゲームバランス?なにそれ、美味しいの?てなもんです。
螺旋〜自体を知らないのでどういう結末を迎えるのか想像できませんが、Lと龍麻が個人的な付き合いをしていくような仲になれたらいいな〜と夢見てます(笑)
更新されたばかりなのにアレですが、次はL視点ですね。お菓子ネタがどう繋がるのか、続きを楽しみにしてますね♪
それでは、また!

晶左
晶左
2008年4月16日15:51

さゆまさん<大丈夫ですか!有難うございます!(笑)
何分、荒唐無稽クロスオーバーにして反則タッグというどこもかしこもツッコミどころな二次創作ゆえに、終始自問自答しつつ書いております(それでも書く辺りがどうかと)
さゆまさんのように螺旋を未プレイの方にも、読み物として楽しんで頂ける様に書けているとよいのですが・・!
果たしてこの先本当に仲良くなるのかそれとも最後に対決するのか、書いてる方にも段々分からなくなってきたL&黄龍では有りますが、次回もお付き合い頂ければ嬉しいですv
コメント本当に有難うございましたー!!

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