※こんにちは・・。この日記は九龍妖魔学園紀のクリア後ボーナス使用設定のパロディ小説よ。基本的にオリジナル設定でネタバレ前提・・・、未クリアなら、閲覧には注意したほうがいいわ・・・(白岐)
※※※※※※※
不思議な雰囲気の人だと、初めてあの人を見たときに思いました。
単純に存在感というならば、会話も多く体格もいい弟さん・・・葉佩さん、の方が上のはずなのに、でも。
「ですから、日本とエジプトに共通する部分は・・・」
ああ。
話している声が、震えなければいいのですけれど。
八千穂さんや、3-Cの女子が「もうすんごッくキレイなんだよッ!美形なの!」と興奮しながら先日語っていた、緋勇さんの瞳。
それを私はまだ見たことがないのに、どうして見つめられていると思うだけでこんなに動揺してしまうのでしょうか。
私の語る「本の中の知識」など、もうとうに知っているかのような。
私が絶対だと信じてきたものをあっけなく覆し、真実を明らかにしてしまうような。
そんな瞳が向けられている気がしてならないのは、一体何故なんでしょうか・・・・。
「じゃーねッ月魅!ありがとッ」
「サンキュな月魅ちゃん!」
「は、はい」
元気良く教室に向かい駆け去っていく八千穂さんと葉佩さんを見送り、私は図書室の鍵を閉めました。
「・・・・はぁ・・」
・・やっと、落ち着いた。
緋勇さんが、授業をサボると言って出て行った皆守さんの後をさも当たり前のように付いて行ってしまったのは少し前。驚いている私や、興味深げにしている八千穂さんに、葉佩さんはあっさり「龍にぃに任せておけばヘーキヘーキ!見てろヨ?次の授業にゃしっかり出席してるってあのアロマ」とにんまり笑いかけたのでした。
(葉佩さんも、不思議な人ですね)
あの好奇心と自信に満ち溢れた瞳は、普通の高校生とは思えない力強さです。
でも、その葉佩さんを見ているとあることに気付く。
葉佩さんの意識の中心は・・・全て緋勇さんであることに。
(緋勇さんは・・・もっと、不思議な人なんでしょうか・・?)
あの、黒髪の下に隠された瞳。
見た者全てを魅了するというその瞳は、一体どんな輝きをしているんでしょう。
そしてその瞳は、先程どんな風に私を見つめていたんでしょう。
「・・・!いけない、授業が始まってしまいます・・・」
いつの間にか、鍵をかける姿勢で止まっていた身体を慌てて翻し、教室へと向かう。その間、私は次々と脳裏に浮かぶ緋勇さんの想像上の素顔に無闇に動揺していました。
・・・まったく、なにをやっているのでしょうか・・・。
「・・・・だよ・・」
「・・・は・・・・」
3階への階段を上り始めたその時、微かに話し声が聞こえました。男性の声?
もう授業が始まるというのに・・サボリでしょうか?だとしたら、一言注意をしておかないと。
そう思って踊り場を覗き込んだ、その時。
「!」
気付けば私は階段下にしゃがみこんでいました。まさか・・会話していたのが皆守さんと、同じクラスの取手さんと・・・・・緋勇さんだなんて、思いもしなかったから。
「・・・か?」
「うん・・・・・に・・・を・・」
・・・・なんの話をしているのか、聞き取れはしませんでしたが(盗み聞きなんてはしたない真似できません!)、ちらりとだけ見えた取手さんの表情が、信じられないほど明るく生き生きとしていて、驚きました。彼はいつも、人との関わりを極力避けているようで、笑顔など見たこともなかったから。
・・・・あれも、緋勇さんの・・・所為?
「・・じゃあ・・・・」
「ああ・・また・・・」
そうこう私が思い悩んでいる向こうで、どうやら彼らの会話が終わりそうな雰囲気になりました。足音が1つ、教室の方へ。(歩幅からして取手さんのようです)
ああ、いけない、そろそろ教室へ行かないと本当に授業に遅刻してしまう。でも、立ち聞きしていたなんて思われたくないし。
慌てている私には無論気付きもしないで、緋勇さんと皆守さんはゆったりとした足取りで階段を上って行きます。・・本当に皆守さんは授業に出るつもりらしいですね。一体、緋勇さんはどんな魔法を使ったんでしょう?
「・・・・らな・」
「・・・った・・」
何かぶつぶつ言っているらしい皆守さんに、静かに笑って答えているらしい緋勇さんの声。・・・本当に・・・・。
不思議な、人です。
やがて2人が廊下の1番手前にあるC組へと入っていった気配に、慌てて私は走り出しました。急いでA組へ飛び込まないと・・!
そうして、廊下を急ぐ(本来走ってはいけないものですが)私が、C組の前を通った、その時。
ふと視線を送った先には、教室の中からこちらを見ている黒い瞳。
「あッ・・・・・!?」
なんと表現したらよいのでしょう。
小説では、なんと記してあったでしょう、このことを。
美の結晶?
神の造形?
黄金比?
私の見たその人は、この私を以ってしても表現できない「美しい」瞳をして。
にこっと、笑ったのでした。
とても、それは、無邪気に。
「月魅ーッ!?だ、大丈夫ッ!?」
「七瀬さん、しっかりして!」
・・・・・・・そうして。
八千穂さんと雛川先生の声に意識を取り戻した私は、自分が走る方向を間違えて壁に激突したことを知ったのでした。
周りに集まった友人や野次馬の中に、確かにあの黒い瞳の存在を感じて、逃げ出したくなったのは、誰にも言えない話です。
・・・・緋勇さん、一体あなたは・・・誰なんですか?
TO BE CONTINUED。
※※※※※※
七瀬の場合は乙女度より好奇心の方が先立っていると思いますが、それでもやっぱりどっきり。緋勇アイは性別問わず魅了属性有りの基本設定で(今更)。そんなこんなでやっと再開。またのんびり更新しますよー。随分放置してて待っててくれた方がいたらすみませんでした。いや滅多にいないと思うんだが。
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不思議な雰囲気の人だと、初めてあの人を見たときに思いました。
単純に存在感というならば、会話も多く体格もいい弟さん・・・葉佩さん、の方が上のはずなのに、でも。
「ですから、日本とエジプトに共通する部分は・・・」
ああ。
話している声が、震えなければいいのですけれど。
八千穂さんや、3-Cの女子が「もうすんごッくキレイなんだよッ!美形なの!」と興奮しながら先日語っていた、緋勇さんの瞳。
それを私はまだ見たことがないのに、どうして見つめられていると思うだけでこんなに動揺してしまうのでしょうか。
私の語る「本の中の知識」など、もうとうに知っているかのような。
私が絶対だと信じてきたものをあっけなく覆し、真実を明らかにしてしまうような。
そんな瞳が向けられている気がしてならないのは、一体何故なんでしょうか・・・・。
「じゃーねッ月魅!ありがとッ」
「サンキュな月魅ちゃん!」
「は、はい」
元気良く教室に向かい駆け去っていく八千穂さんと葉佩さんを見送り、私は図書室の鍵を閉めました。
「・・・・はぁ・・」
・・やっと、落ち着いた。
緋勇さんが、授業をサボると言って出て行った皆守さんの後をさも当たり前のように付いて行ってしまったのは少し前。驚いている私や、興味深げにしている八千穂さんに、葉佩さんはあっさり「龍にぃに任せておけばヘーキヘーキ!見てろヨ?次の授業にゃしっかり出席してるってあのアロマ」とにんまり笑いかけたのでした。
(葉佩さんも、不思議な人ですね)
あの好奇心と自信に満ち溢れた瞳は、普通の高校生とは思えない力強さです。
でも、その葉佩さんを見ているとあることに気付く。
葉佩さんの意識の中心は・・・全て緋勇さんであることに。
(緋勇さんは・・・もっと、不思議な人なんでしょうか・・?)
あの、黒髪の下に隠された瞳。
見た者全てを魅了するというその瞳は、一体どんな輝きをしているんでしょう。
そしてその瞳は、先程どんな風に私を見つめていたんでしょう。
「・・・!いけない、授業が始まってしまいます・・・」
いつの間にか、鍵をかける姿勢で止まっていた身体を慌てて翻し、教室へと向かう。その間、私は次々と脳裏に浮かぶ緋勇さんの想像上の素顔に無闇に動揺していました。
・・・まったく、なにをやっているのでしょうか・・・。
「・・・・だよ・・」
「・・・は・・・・」
3階への階段を上り始めたその時、微かに話し声が聞こえました。男性の声?
もう授業が始まるというのに・・サボリでしょうか?だとしたら、一言注意をしておかないと。
そう思って踊り場を覗き込んだ、その時。
「!」
気付けば私は階段下にしゃがみこんでいました。まさか・・会話していたのが皆守さんと、同じクラスの取手さんと・・・・・緋勇さんだなんて、思いもしなかったから。
「・・・か?」
「うん・・・・・に・・・を・・」
・・・・なんの話をしているのか、聞き取れはしませんでしたが(盗み聞きなんてはしたない真似できません!)、ちらりとだけ見えた取手さんの表情が、信じられないほど明るく生き生きとしていて、驚きました。彼はいつも、人との関わりを極力避けているようで、笑顔など見たこともなかったから。
・・・・あれも、緋勇さんの・・・所為?
「・・じゃあ・・・・」
「ああ・・また・・・」
そうこう私が思い悩んでいる向こうで、どうやら彼らの会話が終わりそうな雰囲気になりました。足音が1つ、教室の方へ。(歩幅からして取手さんのようです)
ああ、いけない、そろそろ教室へ行かないと本当に授業に遅刻してしまう。でも、立ち聞きしていたなんて思われたくないし。
慌てている私には無論気付きもしないで、緋勇さんと皆守さんはゆったりとした足取りで階段を上って行きます。・・本当に皆守さんは授業に出るつもりらしいですね。一体、緋勇さんはどんな魔法を使ったんでしょう?
「・・・・らな・」
「・・・った・・」
何かぶつぶつ言っているらしい皆守さんに、静かに笑って答えているらしい緋勇さんの声。・・・本当に・・・・。
不思議な、人です。
やがて2人が廊下の1番手前にあるC組へと入っていった気配に、慌てて私は走り出しました。急いでA組へ飛び込まないと・・!
そうして、廊下を急ぐ(本来走ってはいけないものですが)私が、C組の前を通った、その時。
ふと視線を送った先には、教室の中からこちらを見ている黒い瞳。
「あッ・・・・・!?」
なんと表現したらよいのでしょう。
小説では、なんと記してあったでしょう、このことを。
美の結晶?
神の造形?
黄金比?
私の見たその人は、この私を以ってしても表現できない「美しい」瞳をして。
にこっと、笑ったのでした。
とても、それは、無邪気に。
「月魅ーッ!?だ、大丈夫ッ!?」
「七瀬さん、しっかりして!」
・・・・・・・そうして。
八千穂さんと雛川先生の声に意識を取り戻した私は、自分が走る方向を間違えて壁に激突したことを知ったのでした。
周りに集まった友人や野次馬の中に、確かにあの黒い瞳の存在を感じて、逃げ出したくなったのは、誰にも言えない話です。
・・・・緋勇さん、一体あなたは・・・誰なんですか?
TO BE CONTINUED。
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七瀬の場合は乙女度より好奇心の方が先立っていると思いますが、それでもやっぱりどっきり。緋勇アイは性別問わず魅了属性有りの基本設定で(今更)。そんなこんなでやっと再開。またのんびり更新しますよー。随分放置してて待っててくれた方がいたらすみませんでした。いや滅多にいないと思うんだが。
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