※よう。この日記は九龍妖魔学園紀のクリア後ボーナス使用設定で進むパロ小説だとさ。基本的にオリジナル設定でネタバレ満載だ、不愉快なヤツはまぁ、読まないようにするんだな(皆守)

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まだ9月だけど、夜になると結構涼しい。
あたしは急に冷たくなった夜風にちょっと身震いした。
うー、制服で来たのは失敗だったかな?でも、私服で夜中にうろうろしてるよりは、見付かったときに言い訳が出来るんだもん。しょうがないよね。
冷えた肩を両手で擦る。ちょっとは動きたいなぁ。
隠れていた木陰から、首をこっそり伸ばしてみた。・・よし、誰もいないみたい。少し身体伸ばそうっと。

あたしは今、生徒の立入りが禁止されている墓場の外にいる。
柵の外から見えるお墓は、行方不明になった生徒の持ち物が眠ってるだけだって聞いてるけど、それでもかなり不気味で怖い。
さっきから寒いのは、風のせいだけじゃないかも。
勿論好きでこんなとこにいる訳じゃないよ!あたしがここにいる理由は・・今日の転校生を待ち構えてたりするんだよね〜。
だって絶対あの2人、アヤシイよッ!緋勇クンはあたしがお墓の話をしても特に反応なかったんだけど・・葉佩クンは明らかに目が輝いてたもんねッ!その後、葉佩クンが緋勇クンになにかひそひそ話しながら墓場の方をちらちら窺ってたし、絶対あれは、こっそり行こうって話だよ。間違いない!
「教えてあげたやっちーを置いていこうなんて、甘い甘いッ!早く来ないかなァ、緋勇クンと葉佩クン・・」
こうなったら現場を捕らえて一緒にこの學園のヒミツを探っちゃうんだから。えへへ、そしたら2人とももっと仲良くなれるかなー・なんて・・・。
そんなことを考えてドキドキしていたその時、急に「カァ!」と怖い声が隠れてる木の上から振ってきた。
「ひゃぁッ!?」
ビックリして首を竦めたあたしを、カラスが見下ろしてる。え、カラス?こんな夜中に?鳥って夜は目が見えないんじゃなかったっけ?
さっきとは別の意味でドキドキしてるあたしと、そのカラスの目が合った。・・カラスと目が合ったっていうのもなんか変だけど・・。
「カァ」
「えっと・・」
まるで話しかけるみたいに一声鳴いたそのカラスに、思わず何か返事をしようとしたんだけど、カラスはそのまま飛んでいっちゃった。ああ、びっくりした。なんだったんだろう?
しばらくぼーっとカラスクンのいなくなった枝を見上げる。うーん、変な感じだなァ・・。
・・って、いけないいけない!見張り・・。
「八千穂さん」
「ひゃあッ!?」
今度はちゃんとした人間の声で、しかも名前を呼ばれて、あたしは本気で飛び上がってしまった。
だ、だ、誰?!
「驚かせたね。ごめん」
飛び上がった後、みっともなく尻餅をついてしまったあたしに手が差し伸べられる。夜の闇の中でもわかる、白い綺麗な手・・。
「緋勇クン!?」
恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら、その手を握って立たせてもらう。あれ・・?緋勇クンの手って、昼間見たときのイメージよりなんだかすごく華奢な気がした。それに、一回り小さいような気も・・?
「・・大丈夫?」
心配そうにそう聞かれ、立ち上がったのにまだ緋勇クンの手をしっかり握ってる自分に気が付く。わぁッ!あたしってば!!
「だ、大丈夫ッ!そ、それよりどうして緋勇クンがここにッ?」
慌てて手を離して、話題を変えてみたけど気不味いよ・・。恥ずかしい〜!
でも、緋勇クンはあんまり気にしてないみたいだった。
よかった。と小さく言って、前髪に隠れた目をあたしに向ける。
うわ、見えないのに凄く緊張する。あの綺麗な目がこっちを見てると思うと、足が震えちゃうよ〜!
「君が、僕たちを待っていると聞いたから」
へ?
「えええッ!?」
あたしは緋勇クンの答えにまたまたびっくりした。あたし、緋勇クンたちを待ち伏せするなんて誰にも言ってないよ!?
そのびっくり顔に、緋勇クンがくすっ、と笑った。
「・・この子が、散歩の途中で君を見かけたんだ。おいで、『くろう』」
「カァ」
「わぁッ!?さっきのカラスクン!?」
緋勇クンが伸ばした腕に、黒い影が大人しく留まった。くろうって、葉佩クンの名前?このカラス、葉佩クンと同じ名前なの?
「『CROW』・・鴉、の意味だよ」
・・あたしの顔ってそんなに分かりやすいかなぁ。緋勇クンが聞く前に答えちゃった。そっか、カラスって『CROW』だっけ。うん、確かそうだった。
って、それよりカラスだよ!?なんでカラスがあたしが緋勇クンたちを待ってるだなんて・・ひ、緋勇クンってカラスの言葉が分かるのー!?
カァ、とまたCROWクンが鳴いた。その声に、緋勇クンが小さく笑う。あたしは、こんな時なのにその笑顔にドキっとした。
「女の子がこんな時間に出歩いたら、危ないよ。立入り禁止なんだろう?墓地」
「う、うん・・」
「まぁ、他にもお友達がいるみたいだけど・・」
お友達?
不思議なその緋勇クンの言葉を聞き返そうとしたその時、闇の向こうからもう一人、学生服の男の子が現れた。ええッ!?
「皆守クン!?」
「・・言っておくが、俺は静かな夜の散歩を楽しんでただけだ。人の声が聞こえたからこっちに回ってみただけなんだ。妙な勘違いはするなよ」
ひどく不満そうにそう言う皆守クンに、緋勇クンは少しだけまた笑った。からかうワケでも、嫌味っぽくもなく、ただ、ふわっとした感じで。うわー、なんでこんな笑い方が出来るんだろう緋勇クンてば・・。
見とれるあたしの横で、皆守クンが気不味そうに目を逸らす。でもその顔は、絶対赤いと思う。よく見えないけど絶対そう。うーん、あの皆守クンがこんな反応するなんて、緋勇クンってやっぱりスゴイ・・。
「もう遅いよ。寮まで送るから帰ろう、八千穂さん。皆守君も、散歩が終わったなら一緒に行こう」
「あ、う、うん・・」
「・・まぁ、別に用事はないがな・・」
あたしたちのその返事を聞いて、緋勇クンは羽が付いてるみたいな軽やかさでお墓に背を向ける。わ、待ってー!結局緋勇クンのヒミツってなんにも分かってないよー!
「ね、ねぇ緋勇クン!」
呼び止めたあたしに、緋勇クンが肩から軽く振り返る。ドキドキする。でも今聞かないと、もうこんなチャンス無いかもしれない!
「緋勇クンって、何者なの!?」
わー!なんて変な聞き方なんだろ!こんなの答えようがないじゃない!あたしってばバカー!
「・・カァ」
CROWクンが小さく鳴いた。その声に、緋勇クンが頷いた・・みたいに見えたのは気のせい?
「《宝探し屋》」
「!」
あたしのすぐ後ろで、皆守クンが息の飲むのが分かった?とれじゃーはんたー?
「後は、九龍に聞いてみて。僕からはそれしか言えないんだ。ごめんね」
「あ・・!」
優しい緋勇クンの言葉が終わると同時に、強い風が吹いた。思わず目をつぶった向こうでCROWクンが羽ばたく音が聞こえる。いたた、目に砂入ったよ〜!
「行こうか」
やっと目を開けたあたしたちに、緋勇クンが促す。
あれれ?なーんか違和感が・・。
・・気のせいかなぁ。
あたしはその違和感の理由が分からないまま、緋勇クンたちと一緒に寮まで帰った。そして、明日になったら葉佩クンにトレジャーハンターのこと聞かなくちゃ、とそればかり考えてるうちに、その違和感のことを忘れてしまったのだった・・。

NEXT 2nd Discovery。

※※※※※※※※

正体不明のまま、2話へ続きます。

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